信太 昭光
Shida Akimitsu
愛 称
しだくん
出身地
千葉県
移住年
2002年
結婚を機に南九州市に移住しました。移住前は都内の飲食店で働いていたので鹿児島市で飲食の仕事を探す予定でしたが、義父母の茶園を手伝っているうちにハッと気づいたら就農していました(笑)。
2008年に茶畑を受け継ぎ、2013年に法人化。2015年には抹茶の原料となる荒茶の製茶工場を新設しました。茶葉生産が日本一を誇る南九州市の茶畑は広大で、機械化が進んでいます。私も5ヘクタールの畑を管理し、一番茶だけでも40トン超の茶葉を収穫しています。
繁忙期には茶葉の収穫に加えて工場が24時間稼働しているので大変ですが、収穫期が終われば比較的ゆったりと過ごせるのでメリハリのきいたライフスタイルを送れます。
地域に溶け込み、
自然に包まれ、育てたお茶で
笑顔が生まれる贅沢。
お茶農家になって本当に良かったと思えるのが、時間の融通がきくことです。子育てに多くの時間がとれますし、学校行事にも参加できます。また、自身が育てた自家用の茶葉を東京の両親や親戚、友人がとても気に入って「おいしい!」と言ってもらえるのも醍醐味。たっぷりの茶葉で日々のお茶を淹れられるのもお茶農家ならではの贅沢です。夏には水出し緑茶を1日に2回はつくっています。
移住したての頃は南九州市の方言がぜんぜん聞き取れなかったので、地元の消防団にお誘いいただいた際には「語学留学のチャンスだ!」と捉えてふたつ返事で入団を決めました。指示されても意味がわからず違う動きをしてしまったこともありましたが、今ではいい思い出。方言もすっかり理解できるようになりました。
壁があっても
常にポジティブに。
新たなお茶の栽培にも
チャレンジ中。
自然と向き合う農業は思い通りにならず大変なこともありますが、私自身は苦労と思ったことはなく「どうやって乗り越えようか」と常にポジティブに考えます。
抹茶工場の設立時も条件として茶畑を有機農法に変える必要があり、そのためには近隣の農家さんも巻き込む必要がありました。ていねいにコミュニケーションをとることで理解を得て、スムーズにまとめることができました。畑のあるエリアは市内でも収穫期が少し遅い場所のため価格が安定しにくいという悩みがあったのですが、抹茶に加工することでその壁も越えることができました。
大規模なお茶栽培は工場や大型機械が必要なのでコストもかかりますが、やりがいも大きいです。今後は、より抹茶に適した品種にもどんどん挑戦していきたいと思っています。
就農で大切なのが、たしかな知識をつけることだと思います。経験は時間がくれますが、知識がないとその経験を自分の中にしっかりと落とし込めません。また、“進歩は自分の常識の外にある”ことを常に意識しています。
農業は大変なイメージがあるかもしれませんが、心地よい瞬間もたくさんあります。重機の作業中は音がするので耳栓をしていますが、仕事がひと段落してエンジンを止め、耳栓を外すと周囲に全く音がない瞬間があります。それは言葉にできないくらい素敵な時間です。
南九州市には「茶業課」もあるので、興味をもったら相談にのってもらえると思いますよ!
南九州市の農業を牽引する先輩たち。就農までの道のりや農業の醍醐味を聞きました。インタビューから南九州市での素敵な農業ライフが見えてきます。