野菜農家
前原 達也
エリア|知覧町
出身地|鹿児島県南九州市
就農年|2004年
現在の経営状況(2024年9月現在)
収益
面積
2100a
設備
トラクター、軽トラ、
散布機、管理機、
肥料散布機、運搬車、
移植機、ボイラー、
農業用倉庫、事務所
雇用
繁忙期はアルバイト5名
平日は妻、義妹の手伝い
不定期で父の手伝い
高校卒業後に東京で1年半働いた後に地元に帰ってきました。そんな折、祖母が親しくしている農家さんから「暇だったらバイトに来い」と誘われたのがきっかけです。その後すぐ結婚をしたのでそのままそこで働き続けました。農機の扱いなど一通り経験して、5年目からは社長の次くらいのポジションになり、繁忙期のアルバイト手配なども全面的に任されました。細かいお金の計算もできるようになってきたので、独立を視野に入れるようになり、最終的には11年働いた後に30歳で独立して今に至ります。
新規就農者が苦労するのは、畑の確保と農機購入費です。畑は祖母が持っている5反しかなく、その規模では新規就農ができないと言われたので、周りの人たちの協力を得て300aの畑を確保しました。機械の入りづらい小さな畑が多かったですが、借りられる畑はとにかく集めていきました。費用面では、国の農業次世代人材投資資金(経営開始型/年間150万円の補助が5年間出る)を活用しつつ、トラクターの購入費用に充てるため銀行から600万の借り入れをしました。マイナス(借金)からのスタートにはなりますが、馬力のある農機を購入することで作業効率が格段に上がるので必要な初期投資だったと思います。
1年目
収益
面積
300a
設備
トラクター、軽トラ、散布機、管理機
雇用
なし
新規就農に当たって主力作物はキャベツを選びました。当時周りで作る人が少なかったことと、イノシシはキャベツを食べないので獣害対策に電柵を張る手間や費用を省けたのが理由です。安定収入を得るために組合に入り、契約農家として大手に卸す道を選びました。苦労したのは冬場の霜対策です。キャベツが凍るので、溶けるのを昼まで待ってから切らないと傷んでしまいます。契約分は毎日必ず出荷しないといけないので深夜11時まで作業したこともありました。その後、霜よけのブルーシートを被せて対策する方法を見つけました。こういった苦労と試行錯誤は常にありました。
2年目
収益
面積
550a
設備
肥料散布機を買い足し
雇用
なし
計画通りにいかないのが農業です。台風で植え付けたキャベツが一度全部だめになったので、10月から植えつけができる高菜を植えて対応しました。今はキャベツに防風ネットを張る台風対策をしていますが、高菜も作ってリスク分散しています。最近は5年に一回、10年に一回と言われるような天災が来ることがあります。台風や暖冬、猛暑、エルニーニョなどの天候には太刀打ちできません。サツマイモの基腐病など、今までなかった病気が流行ることもあるので、天災が起こっても持ちこたえられるくらいの財力の必要性を痛感します。
3年目
収益
面積
1060a
設備
運搬車購入
雇用
家族(妻)が繁忙期の手伝い、土日のアルバイトも2名くらい。父も休日に来てくれるように
新規就農時の事業計画書では、5年後に売上3000万を目標にしていましたが、3年目に達成できました。目標に早く到達できたのは、毎年畑の面積拡大をして収量を上げる方向性で進めてきたからです。契約農家として毎日出荷できる卸先があったことも大きいですね。そして農機への投資も。ロータリーをかけるにも、トラクターが大きいと作業時間を大幅に短縮できる上に、人件費も変わってきます。栽培面積を広くしようとすると、農機が大きくないと厳しいと思います。設備投資は長い目で見るとコスト削減に繋がるので、現在もまだ投資時期だと捉えて積極的に行っています。
4~5月にキャベツを出荷できるのが強みでしたが、他の県でも作れるようになってきたので、今後はサツマイモと高菜を主力に移行していく予定です。この2つの作物は相性が良く、サツマイモを掘った後に高菜を植えられるので畑も一枚で済みます。あとはフルーツも今後やってみたい分野です。去年はボイラーを購入してメロン栽培を始めました。妻や義妹が手伝ってくれているので、力仕事の比較的少ないイチゴも良いと考えています。うまく育てられたら観光農園やふるさと納税にも取り組みたいですね。こうやっていろいろな作物にチャレンジしますが、収益が見込めないとわかったらすぐに辞める判断も大事にしています。現在、法人化も視野に入れており、実習生や研修生の受け入れもやっていきたいと考えています。
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